創世記19章1~22節「うしろを振り返ってはいけない」

創世記 19:17  彼らを外のほうに連れ出したとき、そのひとりは言った。「いのちがけで逃げなさい。うしろを振り返ってはいけない。この低地のどこででも立ち止まってはならない。山に逃げなさい。さもないと滅ぼされてしまう。」 

うしろを振り返ってはいけないのに「ロトのうしろにいた彼の妻は、振り返ったので、塩の柱になってしまった。」

ロトの妻は、ただ一度、振り返っただけで塩の柱になったのだ、神の裁きは怖ろしいなあと今まで思っていましたが、この箇所をよく読んでみると、ロトの妻は、ロトよりもずっとうしろにいたことがわかりました。そしてロトの妻はただ振り返っただけではなく、どうやらソドムの町に引き返していたらしいことがイエス様の言葉から推測できます。

ルカ17:29  ロトがソドムから出て行くと、その日に、火と硫黄が天から降って、すべての人を滅ぼしてしまいました。 

17:30  人の子の現われる日にも、全くそのとおりです。 

17:31  その日には、屋上にいる者は家に家財があっても、取り出しに降りてはいけません。同じように、畑にいる者も家に帰ってはいけません。 

17:32  ロトの妻を思い出しなさい。 

ロトの妻は、ソドムに引き返したとき、地面からガスとともに噴き出した塩分の濃い泥水を浴びて熱で固まって岩塩の塊となってしまったのだろうと思います。ロトといっしょに逃げていればそんなことにはならなかったはずです。

3.11の津波の記憶がまざまざとよみがえってきました。あの日、地震のサイレンを聞いて高台に逃げていた人たちの一部は、家に引き返しました。そして、地震からしばらく経過してからやってきた大津波に襲われて一瞬で帰らぬ人になってしまいました。

ロトの妻がなぜ引き返したのかはわかりません。しかし、東北の大震災の出来事から、私たちはロトの妻がしたであろうことを体験的に知っていますし、責めることもできません。

一刻を争う危機の瞬間、私たちの心がどこにあり、どこを向いているのかが露わにされます。ロトの妻が見ていたのは、前にある神の約束ではなく、後ろにあるソドムの生活でした。一瞬の出来事が命取りになりました。毎日の人生の選択の繰り返しが私たちの信仰を形作ります。今日この瞬間、この世ではなく、神を選んでいるのか、問われていると思います。